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「天と地」展覧会レポート 「見えないものが行き交う空間」 

イベント報告 2024年10月11日

展覧会初日に「天と地」を観覧された増野華奈子さんに感想のレポートを寄せていただきました。

書家・柏木白光先生の展示会『天と地』にうかがいました。  

会場は、熊野本宮の目の前にある熊野本宮館でした。東京から向かったので、前夜は渡瀬温泉の宿に泊まりました。空から降った雨が霧となって立ち昇り、山裾をのぼって雲となり、再び空に還っていく様子を眺めながら、天と地が近くにあってまるで神話の中にいるかのような場所だと感じました。  

翌朝早くに会場に足を踏み入れると、熊野の大気を集め、墨で紙上に再現したかのような作品群が展示された空間が広がっていました。また、古来、多くの人々が熊野を訪れ、和歌や俳句や詩で表現しようとした、その想いや心までが、さまざまな書体を自在に駆使することで、瑞々しく表現されているのが印象的でした。  

目には見えない流動的なものが書として形を持ち、見る人の心に直に伝わっていく――。そういう圧倒的な説得力を宿す作品群でした。  

初日のオープニングセレモニーでは、修験道による開闢法要が執り行われ、会場全体が神聖な雰囲気で満たされました。また、熊野古道を訪れた外国からのお客さんも大勢来場し、真剣な眼差しで作品に見入っていました。

書を中心に、熊野の大気が会場へ、いにしえの想いが令和へ、そして日本から海外へと、目には見えないものが動的に行き交っているように感じました。  

増野華奈子

熊野本宮館にて『天と地』開幕

イベント報告 2024年10月10日

2024年10月5日、「書家 柏木白光作品展『天と地』 熊野古道をめぐる書巡礼」が世界遺産 熊野本宮館(和歌山県田辺市)にて開幕しました。

オープニングセレモーでは、主催である熊野本宮観光協会の名渕敬会長によるご挨拶に続き、真砂充敏田辺市長、九鬼家隆熊野本宮大社宮司からお言葉をいただきました。

ご挨拶をいただいた三氏に加え、熊野那智大社の男成洋三宮司、国際熊野学会の山本殖生代表委員、柏木白光も加わり、テープカットが挙行されました。

画像をクリックすると動画が再生されます

テープカットに続き、正大先達・高木亮英大導師 ならびに 那智山青岸渡寺 熊野修験山伏による開闢(かいびゃく)法要が行われました。

セレモニーを終え、展覧会「天と地」は無事、開幕いたしました。ぜひ、会場へ足をお運びください。

昭憲皇太后の御歌を書写する会で講師を拝命

イベント報告 2024年06月26日

明治神宮では2024年6月17日に「おみくじ書写会~聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心~」を開催しました。この催しは、昭憲皇太后の御歌5首から好きなものを選び、書写する会です。柏木白光はお手本となる御歌を揮毫し、奉納させていただくとともに、書写会の講師を拝命いたしました。

今回の揮毫にあたり柏木白光は、明治神宮国際神道文化研究所主任研究員である打越孝明氏の著書『御歌とみあとでたどる明治天皇の皇后 昭憲皇太后のご生涯』を精読し、昭憲皇太后について理解を深めました。

書写会の冒頭でも、昭憲皇太后の素晴らしさを紹介するとともに、その生き方から生まれた御歌を書写するにあたってのアドバイスを解説しました。その後、受講生の方々は、御歌を選び、練習したうえで、色紙に揮毫。柏木白光は受講者の席を回りながら、指導をさせていただきました。

書写が終了すると、明治神宮本殿へ移動し、参拝をさせていだきました。

受講者の方々の感想

「昭憲皇太后様のあふれる思いにふれる」 坂本喜杏さん

このたび、明治神宮おみくじ書写会「聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心」のご案内を頂戴いたし、参加の申し込みをいたしましたところ、当選のご連絡をいただきました。

青空のもと、明治神宮の代々木の杜の中を歩き、清々しい気持ちで明治神宮ミュージアムにお伺い申し上げました。神官の皆様のご用意も美しくととのい、まずはじめに柏木白光先生のお話を承りました。

明治の時代、明治天皇陛下とともに昭憲皇太后様は、日本の国民の教育、生活指針をまず第一にお考え遊ばされ、十二の徳目を和歌に詠まれ、柏木白光先生がお手本として、その内の五つの御歌をお示し下さいました。

御歌を拝読いたしますと、昭憲皇太后様が、あふれるほどの国民への思いをこめられてお詠み遊ばされたことが伝わり、わかりにくい遠回しではなく、現代の私どもが拝読いたしましても、心に素直に入ってまいります。

柏木白光先生のお話を承り、昭憲皇太后様の、安住せずに、人々の嘆きにも常に耳を傾けられ、ご努力を遊ばされたそのご精神を、私どももつなげてまいりたいと存じ、筆を持った次第でございます。

そして、各自の色紙を御本殿に奉納させていただき、柏木白光先生とともに参拝できましたことをお手配下さいました皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

「自分らしく書く、楽しく書く」 辛島高明さん

普段の生活では文化的なことには全く縁のない生活を送っている60代ですが、ある日携帯をいじりながら色々な情報を閲覧していたところ、「おみくじ書写会」の開催案内に目が留まり、「光る君へ」の和歌のシーンが頭に浮かび、何を思ったか申し込みをしてしまいました。

「まあ、当たらないだろう…」と思っていたところ当選の連絡があり、一瞬うろたえたのですが、小学生以来「筆で字を書くこと」などなかったので、良い機会と捉えて参加させて頂きました。

書道家の先生のお話を聞くことも初めてでしたが、柏木白光先生のおおらかで人を引き付ける語り口で、「書」「かな文字」の意味や掛け合わせでの表現方法などのお話が聞け、初めて和歌の読み解き方を理解しました。

書写は練習用半紙で筆慣らしをしたのち、自分が選んだ御歌の見本の上に色紙サイズの半紙を乗せ、なぞり書きでの練習をした上で、本番用の色紙に清書し最後に【明】の朱文の印を捺印しました。

書き始めは緊張しましたが、白光先生の「自分らしく書ければ良いですよ~!」の一言で楽になり、楽しんで書くことが出来ました。

清書が終わった後は参加者一同奉納の為に神官の方と境内を移動したのですが、その際、各所の説明を受けながらご本殿まで行けたのは参加者への特典ご褒美でした。無事に昭憲皇太后様への奉納の儀が終わり、自分の書いた色紙を受け取ったときは何やら清々しさを感じ、日本の文化は素晴らしいと再認識しました。

今回は特別な経験をさせて頂き、柏木白光先生ならびに国際神道文化研究所の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

「感動のおみくじ書写会」 澤田優子さん

「当選!!」の通知をいただいてからワクワクドキドキが止まらない心を抑えて、いざ明治神宮へ。鳥居でご挨拶。一歩入った所で都心にあるとは思えない静寂と深緑の杜の爽やかな空気。思わず深呼吸してしまいました。

しばらく歩き隈研吾氏設計のミュージアム到着。館内に入ると大きな吹き抜けと壁が窓一面の森がみえて、最高な内装です。

受付を済ませ、柏木白光先生の明治天皇と昭憲皇太后の作品を拝見。さすがに凄いですね!!

会場には、すでに書道道具が用意されたテーブルに椅子が整然と用意されていて、自由に席を選んで着席しました。しかし、きっちり必要な物が並べられていて気持ちよく受講できる環境って素敵ですね。ご用意していただいたスタッフの方の気持ちがとても嬉しいでした。

進行の神官さんから説明があり、スタート。

講師柏木白光先生の自己紹介に「黄門様の印籠のかわりに神社新聞の題字が私の印籠です」と、ユーモアあるお話し。そして「作品です!」と、言われた袋の中に入っていた先生のパンフレット。目が点に。言葉にならない感動でした。

昭憲皇太后の和歌を現代の人が読める字にした作品と聞いて、またもビックリ!! 昭憲皇太后が女子の教育に貢献された事には、今の私たちは感謝しなくてなりませんね。そして、和歌の内容は、人としての生き方を和歌にしている。と、すべてが実践できたら、素晴らしいだろうと思いました。どの和歌も背筋がピーンとする素晴らしい和歌だと思います。

書写開始。筆慣らしからです。なかなか思うようには、動かない筆。練習に夢中になっていたら、清書に入ってくださいとの事。色紙って‥。緊張するし、練習紙とは違うよ。より一層の緊張、無我夢中です。

最後に印をおして、ほっとする間もなく、神官さん先導のもと本殿参拝向かい、途中に説明が入り歩いて手水舎でお清め。お祓いをして一般参拝の一つ内側で参拝。この時に、先程仕上げたばかりの作品も一緒です。

感動の涙が出そうでした!最後に作品を返していただき解散です。約3時間、夢のような体験でした。今回のテーマは、聞いて学び書いて親しむ昭憲皇太后の御心!あまりにも短い時間にこれだけの内容を深掘りできなくとも身に入ってきた感じがしました。また、この企画あったら是非参加したいと思いました。

最後に柏木白光先生のお話しの楽しさ。講演だけでもあったら嬉しいです。また、スタッフの皆様もとてもスムーズに進行していただき、気持の良い環境を整えていただいて感謝です。充実した時間をありがとうございました!!

「おみくじ書写会に参加して」 茨木久美子さん

明治天皇のお妃さま。ぼんやりとそんなイメージしかなかった方が、混乱の時代に赤十字を作られ、女子教育や女性の立場向上のために奔走され続けていたと知り、あぁ、歴史は 脈々と連なり、熱い思いで動いて下さった方々のおかげで今があるのだと改めて感じました。

皇太后のお話の他、文字の成り立ちやその持つ力、“いかに上手く書くか”ではなく“いかに心を込めるか”が大事だというメッセージなどなど、短い時間にたくさんの教えを受け、 その情報と感動とが自分の中に流れ込んで、それらを落とし込む形で色紙に向かう。本当に 贅沢な時間でした。

隈研吾さん設計のミュージアムのホールは、室内なのにまるで森の中に 佇んでいるような、なんとも気持ちの良い空間で、そんな場所で、この得難い体験をさせて 頂けたことに、心から感謝しています。

自分の拙い字を眺めるのは、失敗ばかりに目がいきちょっと辛いですが、でも、教えて頂いたことや強く共感したお言葉を思い出し、日々を丁寧に過ごすためのツールとして、目につく所に掲げておこうと思っています。本当にありがとうございました。

書写会を企画された主任研究員の今泉様にお言葉を寄せていただきました。

和歌を書くという行為を通じて、おおみごころと自らの心が通い合うような そのような書写会をいつか実現できればと願ってきました。

この度、ご縁をいただき柏木白光先生の作品を手本として、開催が叶ったことに心より感謝申し上げます。

下手くそでもよいから、昭憲皇太后さまのお気持ちを思いながら書いてごらんなさいという言葉に、受講生も励まされたのではないでしょうか。

書き終えた後、皆さんがとても充実した表情だったのが印象的でした。

短い時間でも、小さい人数でも、このような機会をくり返し作ることができればと夢見ています。

白光先生、どうぞこれからもご指導をよろしくお願いいたします。

明治神宮国際神道文化研究所主任研究員 今泉宜子

「天と地」レポート 来場者の感想

イベント報告 2023年05月27日

2023年4月8日から5月9日までの1カ月間、三重県伊勢市の賓日館にて開催されてきた展覧会「天と地 熊野古道をめぐる書巡礼」が終了いたしました。たくさんのご来場ありがとうございました。本日は数多く寄せられた感想の中から子どもたちのコメントを紹介させていただきます。

【2つの漢字にあらわしました】

「大」と「勇気」を先生の書いた字からぼくは感じました。まずなぜ「大」を先生の書いた字から感じたかというと小さい文字もこまかくてすごくいいと思ったけど ぼくは、大きな字でバランスがとれていて小さな字では感じとれない はく力があるからです。

あとぼくは、大きな字を書くときにすこし『かさっ』としているのが先生のいいところだと思ったからです。

次になぜ「勇気」がいいと思ったかというと、ぼくもお習字を習っているけど、せいしょを一発で書いてしまうというのは、とても勇気がいるけど先生が書いている動画を見ていて「えいやっ」というかけ声が とても勇気をふりしぼっているように見えるからです。(京都市 山中彪嗣さん [11歳] )

【白光せんせいへ】

大きい字や、小さい字が、ふつうの字じゃなくて 絵みたいかんじました。じぶんでもそんな字をかいてみたいなとおもいました。字がきれいだといいことがあるとおもいました。

字は、まだちょっとしかしらないけど もっと字をしってきれいに かけるようになりたいです。(京都市 山中日陽さん [8歳] )

「天と地」レポート 和歌山県世界遺産センター山西毅治所長講話

イベント報告 2023年05月15日

2023年5月7日、展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」の最終日、賓日館の大広間で、和歌山県世界遺産センター山西毅治所長の講話「世界の旅人を魅了する熊野」が行われました。

●和歌山県世界遺産センター山西毅治所長による「世界の旅人を魅了する熊野」と題してお話を頂きました。神々が鎮まる特別な聖地での作品展の最終日にふさわしいお話でした。

国内外から、観光地として評価され、右肩上がりで登り続けているのは、山西さんが、数々の戦略がされていることに、感銘を受けました。

まだまだ、素晴らしい場所がある事も映像を通して知り、是非とも訪れたいと思いました。(三重県伊勢市 道明くみこさん)

●去年から、今年は絶対に、熊野に行くことを決めていました。

すると、この1ヶ月の間にどんどん熊野が近づいて来ました。山西さんの日本人が持っている自然に対する想いや甦りの熊野、自分の過去現在未来に向き合うこと、などのお話を聞きもっともっと行きたくなりました。

近いようで遠かった熊野を、今は随分近くに感じています。自分を生きることを楽しみながら、熊野への旅を心待ちにしたいと思います。

山西さんが、「お出での時は連絡下さい、案内しますよ」と、言われたので是非楽しみにしてます。(三重県伊勢市 藤田俊子さん)

●「そうだ京都へ行こう」
このキャッチフレーズだけで何百万人もの人々が京都を訪れるのです。
「そうだ和歌山へ行こう」
このようなキャッチフレーズで、いったい何人の人が和歌山を訪れるのでしょうか?

京都を訪れるのには理由があるんです。和歌山へ訪れてもらう為にも、その理由付けが必要なんです。

そのように、和歌山県世界遺産センターの山西元所長さんは話されていました。

県の職員として、和歌山県産の食品のブランディングや、和歌山県への企業誘致、そして観光局長として、観光客の誘致を手掛けられた山西所長の講演は、成功事例に必要な要素である「人・物・金」の、「人」として山西所長が携わってこられた凄みと喜びを感じた講演でした。

モニタを使い、熊野の綺麗な大自然の画像や、本宮・速玉・那智の画像と共に、観光客の推移を示したグラフを紹介されていました。

何と2003年には6万人だった宿泊者数が、2019年には50万人を超えていました。特にヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアの方々が多いのも特徴でした。

これは私の意見ですが、宿泊者数が増えるには、誰かが何らかの仕掛けを行う必要がありますよね。それを山西所長さんをはじめ県の職員さんや、語り部の方々、ホテル・旅館・民泊の方々、そして神社仏閣や観光業の方々の努力の結果だと思うのです。

私は伊勢に住み、観光業にも携わっておりますので、お客様が来られてはじめて仕事が成り立つんだ。という事は身をもって体験していたはずなのですが、では、「何故お客様は伊勢を訪れるのでしょうか?」という山西所長からの問い掛けに対し、明確な回答を持っておりませんでした。

しかし、山西所長をはじめ県の職員さん達は、ひたすら「熊野にお客様を呼ぶにはどうすれば良いのか?」を考え実行してきたのではないでしょうか。

「熊野古道」と言われても、単なる古い道としか思えない「蟻の熊野詣で」や「熊野巡礼」と言われても、今の日本人には理解されないと思います。が、山西所長曰く、日本のサンティアゴ巡礼路だと言えば、ヨーロッパの方々には一言で理解して頂けるんです。

この数年、外国人観光客からの評価がすこぶる良いと、嬉しそうにおっしゃられていました。県の職員に山西所長が居なければ、成し遂げられない成功事例だなぁと感じながら、聞いておりました。

  • 「Best in Travel 2018」ベスト5:「紀伊半島(和歌山)」【ロンリープラネット】
  • 「2019年に訪れるべき19の観光地」ベスト10:和歌山県(日本で唯一)【Airbnb】
  • 「2020年に訪れるべき日本の観光地ランキング」ベスト 1:「熊野」【Gaijinpot:国内最大級の外国人向け日本情報サイト】
  • 「絶景・海部門」ベスト1:【アフロ(写真総合エージェンシー)】※2位北海道、3位沖縄 
  • 「Best in Travel 2021 サスティナビリティー部門」ベスト 1:和歌山(日本)

今の日本人が忘れてしまった何かが、熊野には有り、多くの外国人を引き付けるようです。

その魅力を山西所長様はじめ多くの方々が、今に伝えておられます。
実際に熊野の山々を歩き、自分のこの目で熊野の自然を体験し、魅力を語れるようになりたいと思えた講演でした。(三重県伊勢市 杉山理さん)

山西毅治所長より展覧会「天と地」への感想をいただきました。

白光先生の書は、私の心を揺さぶるものでした。

ひとつひとつの書の凄さ、迫力は言うまでもないことですが、「紙の質、背景」とマッチした「構図」「それぞれの文字の大きさ、強弱、硬軟」の巧みさはストーリーを感じることができ揮毫した風景を思い浮かべ、先生の思いを感じさせられるものです。

なかでも、「構図」「構成」は私の書のイメージを覆すもので日本人のみが出来得る最高の芸術というものでした。

「書」でここまで表現できるのか!という思いです。

感動をいただきました。ありがとうございました。

熊野の神々の導きで白光先生とのご縁をいただき、書を拝見する機会を得たことに感謝いたします。

「天と地」レポート 熊野本宮大社九鬼家隆宮司 講話

イベント報告 2023年05月13日

2023年5月6日、展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」が開催中の賓日館の大広間で、熊野本宮大社九鬼家隆宮司に講話「甦りの熊野」をしていただきました。講話に先立ち、語り部の谷口佳子さんによる「熊野曼荼羅絵解き」が行われました。

※九鬼家隆宮司の「鬼」は上に点(ツノ)がない字体です。

【来場者の感想】

●日本の自然信仰の象徴、霊的な存在である熊野三山について、初めて聞くお話ばかり。中州にある大斎原(おおゆのはら)。何故、水に流されるような中州に神が舞い降りたのか、疑問に思っていたが、熊野川の水で浄化される聖域だと言うお話を聞いて納得。多くの方々がまた大斎原をお参りしていることも「甦り」だと思えてくる。災害は、決して悪いことばかりではないと、教えているのかもしれない。

熊野と言えば、三本足の八咫烏(ヤタガラス)。熊野三山で違う形をしているのは、きっと意味があるに違いない。なぎの枝をくわえているのは、前世の罪を浄める速玉大社。なぎの葉は、前世の罪障の象徴ではないかと、想像力を逞しくする。現世の縁を結ぶ那智大社の見返り姿のヤタガラスからは、過去を振り返りながら歩む人の姿を思う。本宮大社の羽根を広げているヤタガラスは、来世に大きく翔び立とうとしているように見えてくる。

全国にある7500か所の熊野大社のうち、本宮大社が6割を占めているのは、貪欲に来世までの安寧を願う、人の本性の現われか。

大自然の下、老若男女、身分、立場、貴賤、宗教、国や民族などの違いを超え、総ての人々が等しく清々しさを感じ、安寧を祈る場があることは、誠に有難いことだと思った。 (災害防止研究所代表、吉田明生)

●まず、「九」は宇宙と繋がっている数字。「鬼」は上の点はなく神という意味だそうで、宇宙と繋がる神の役目を持った苗字だと知ってビックリしました。特に本宮大社は未来に向かっての方向性を示してくれるとの事、直ぐにでも行きたくなりました。

白光先生の「天と地」の書巡礼の始まりの場所であり、宮司様の出会いがあればこそ100点の作品が出来たのだとわかりました。

また明治時代にお宮が大水で流されたのですが、高台に移転を決め なんと1年8ヶ月で再建したこともお聴きして熊野の方の強い信仰心と神がかって建ったのかとも思いました。

熊野は男女を問わず、なにびともお参り出来る所。今も熊野の人のおおらかさはそこから来ているのかとも感じました。

語り部の会、谷口さんの熊野曼陀羅絵解きの説明も感動し全国約5千社の熊野神社があるのも納得出来ました。

九鬼宮司様のお人柄にも感激して是非、熊野詣でに参りたいと思います。(三重県伊勢市 伊藤知佐子)

●谷口さんの曼荼羅の絵解きが立板に水、淀みが無いのに表現力豊かな話に魅了され楽しい限り、近いうちに熊野古道の案内をお願いしようと思いました。

本宮大社の九鬼宮司様には、本宮の知らなかった由緒などをお聞き出来て興味深かったうえに思いがけずも有難い「牛王符」、優しくも力強い文字の「手拭い」などを頂けとても驚き嬉しく、大切に飾っておくと決めました。

熊野方面には何人か友達も出来てご縁が深まっています。この先どんなワクワクが待っているか楽しみでなりません。(三重県多気町 花井和美)

●私が初めて柏木白光先生の作品を目にしたのは、平成25年に世界遺産熊野本宮館で開催された作品展でした。今回、伊勢二見の賓日館において「天と地」と題した作品展と併せて制作にゆかりのある方々の御講演が行われるとお聞きし、5月6日の熊野本宮大社九鬼宮司の御講演に併せて訪問させていただきました。

会場の賓日館は、国指定重要文化財の格調高い伝統建築物で当日は眩い日差しを浴びた庭園の木々が鮮やかな新緑を身にまとい私達を迎えてくれました。

建物に入ると、89箇所にも及ぶ熊野の聖地に赴き書巡礼された「書作品」が大小さまざまな部屋に展示されていました。

自身がその地に赴き、体感・体得された大地と空のエネルギーを書き記された作品に感動を受けました。特に印象に残った作品は「那智の滝」と「風」でした。那智の大滝の躍動感ある流れを表現して描かれた書に圧倒されました。風の書体も目の前で空気が動いているような気持になり、心が惹きつけられました。

今日は白光先生の聖地を描いた書作品と伝統ある日本建築の賓日館が相まって日本の心を垣間見えた気持ちにさせていただきました。

講演会では熊野本宮大社九鬼宮司から、「甦りの熊野」と題して熊野三山(本宮・新宮・那智)の主祭神のお話しや、カラス文字で書かれた牛王神符が三山特有の御神符であること。また、熊野信仰のお守りとしてではなく、戦国の時代には誓約書として用いられた歴史や、御新符の中央に押されている牛王宝印の解説をしていただきました。男女の隔てなく、浄不浄を問わず、何人も受け入れた聖地熊野の九鬼宮司さんは優しく親しみのあるお方でした。

熊野比丘尼の姿で登場された谷口佳子さんからは、熊野観心十界曼荼羅と熊野本宮参詣曼荼羅を用いて当時の熊野詣の様子、熊野にまつわる伝承を絵解きしていただきました。現在に蘇った熊野比丘尼の語りに導かれ、熊野参詣道を巡礼させていただきました。

再来年は「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて20周年を迎えます。熊野の地で白光先生の素晴らしい作品に再び出会えることを願っています。(和歌山県新宮市 小守 充)

「天と地」レポート 災害防止研究所 吉田明生代表理事 講話

イベント報告 2023年05月12日

2023年5月5日、展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」が開催中の賓日館の大広間で、災害防止研究所の吉田明生代表理事に講話「『天と地』〜道の向こうにみえるもの〜」をしていただきました。講話では、公益財団法人修養団 常務理事 伊勢青少年研修センター所長の武田数宏様にも登壇していただきました。

【来場者の感想】

●私は、学生時代建設工学科で耐震工学や耐震建築を学んでおりました。大学を卒業してゼネコンで耐震建築に携わり、津浪の疑似体験にも参加させていただきました。

伊勢に帰ってからは阪神淡路大震災の被災地にも行かせていただきました。高速道路がものの見事に横倒しになり、旧耐震法で建てられた建物はほぼ倒壊。人間の無力さを痛感しました。

その他、台風や水害の現場等々、修養団にお世話になってからも、東日本大震災の被災地に11回程行かせていただきました。感じたことは、立派な堤防や立派な建物をどれだけ整備しても人の命は防げない。防災よりも自然と共存しながら減災教育を徹底して行っていくほうが効果的なのではないかと思います。

「釜石の軌跡」。あれがまさしく和の精神。まさしく日本人が3000年の長きに亘って培われて来た「和の精神」を減災教育に取り入れ行うべきだと思わせていただきました。

今回の講演を聞かせていただき、益々、吉田先生の活動が重要になってくると思います。私も微力ではございますがご協力させていただきたいと思います。(三重県伊勢市 斉田聖生さん)

●陸上自衛隊での経験、白光先生との関わりを通じ、「天」は、「地」を一生懸命に歩く人だけに見えるものだ、というお話。

特に「あなたの仕事は何ですか」と、仕事の意義を問い詰めると、本質は人のお役に立つことにあると気付きを与えることで、部下に高いモチベーションを持たせることができたというエピソードが印象的でした。

今の時代、悪意なく、本質とつながらない仕事で時間を潰している人、それを指示している人が多くいます。そのことに気づかせ、軌道修正させる力を持つ人が求められていると実感しています。

また、白光先生が、冷戦崩壊後、まだ新しい平和の形を模索していた時代1996年に、地域や宗教を超えて、アート(書)で世界をつなぐイベントをロサンゼルスで開催されたことに感嘆しました。

賓日館の各部屋に展示されている、白光先生の作品からは、パワーと同時に親しみを感じる不思議な感覚を持ちました。

この世界には色々な所に光があると思える、ポジティブなマインドになることができました。(東京都 濱本亮さん)

●参加させていただき、心に残る印象は ご縁を大切に繋いでいらっしゃる、温かい方。

自衛隊のご出身とのこと、向き合ってきた命、国を護るスタンスが一般的な私達より深いものがグッとある力強さ、信頼、安定感は、白光先生とのご縁での、お働きが凄く、また、中山靖雄先生からの学びと、本当に深くとても素敵に繋いでいらっしゃることを感動しております。

書を海外に繋げ、心の神を表現と言葉に置き換えての説明。白光先生のエネルギーの書を海外に繋いでいくお話しは、はかりごとのように感じました。

出逢うべくして出逢い、人は動かされ繋いでいるその流れのさまを吉田さんの温かい言葉で伝えていただき、私までもが、中山靖雄先生からの言葉でなくとも、学ばせていただきました。

書を通し吉田さんの捉え方での表現が戦争という現実的ではない世代に生きている私に、過去、現在、未来への在り方も学ばせていただきました。とても貴重な時間となりました。(高知県安芸市 津野三和子さん)

※中山靖雄先生(1940年〜2015):公益財団法人修養団の理事、伊勢青少年研修センター所長、常務理事を歴任、伊勢道場長などを務めた。2000年「文部省平成12年度社会教育功労賞」を受賞。

「天と地」レポート 仏師 松久佳遊師 講話

イベント報告 2023年05月10日

2023年5月3日、展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」が開催中の賓日館の大広間で、仏師 松久佳遊師に講話「神さまと仏さまと」をしていただきました。

●仏師の松久佳遊先生のご講演聞かせて頂き、白光さんとのご縁の深さに、感激しました。

神仏の導きに素直に聞かれた白光さんの勉強熱心さと松久先生のご指導の賜物で素晴らしい書作品で、全てにストーリーがあり、話を聞けば聞くほど奥深く神仏のお力添えの強さに感じ入りました。

やはり純粋に一生懸命、素直で明るく努めることの大切さを感じました。

松久先生の優しく自然体で、仏師としての心構え、聞かせて頂きとても素晴らしく、勉強させて頂きました。白光さんが、松久先生に此れからも、ついて行きますと、尊敬されるほど素敵な先生です。

感動して京都に戻ります、ありがとうございました。(京都市 住井啓子さん)

●京都の松久宗琳仏所、松久佳遊仏師が講演されるとの事で友人3人で伺いました。

「仏師は私情を入れて仏像を彫ってはならない…」心惹かれる貴重な講話でした。

白光先生の「天と地」とのご縁は、まさに神仏のお導きと改めて感じ、筆巡礼だからこそ描かれてる作品どれもにエネルギーが満ち溢れておりました。

この度はご縁を頂きありがとうございました。(愛知県一宮市 松島穣さん)

「天と地」レポート 刀剣文化研究所公開刀剣鍛錬

イベント報告 2023年05月09日

2023年4月29日、展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」が開催中の賓日館の玄関前で、刀剣文化研究所の藤安将平刀匠、上畠宗泰刀匠、石田国壽刀匠による公開刀剣鍛錬が行われました。当日は二見興玉神社による鍛練の安全祈願のお祓いに始まり、三重県知事の一見勝之様にもご挨拶をいただきました。

【来場者のご感想】

●麗らかな春の陽光の下、玉鋼を打つ凛とした響きに、心が清められる思いがいたしました。貴重な機会をいただき感謝を申し上げます。

日本刀は、日本固有の鍛冶製法で作られた最高峰の強く美しい武器であるとともに、我が国が誇る伝統文化であり、世界の博物館に一つは所蔵されると言われるほど多くの国々で愛されています。

かのアンヴァリッドや大英、メトロポリタンなどの博物館等において所蔵や展示がなされ、国内でも東京国立博物館などで鑑賞できますが、今後は、日本刀の業や魅力にふれる機会が身近な場所で広まり、その価値が更に広く認められることを願っております。(三重県知事 一見勝之様) 

●日本刀鍛造の打ち始めに会って

民族が民族として、国が国として続いて行くためには、民族の精神と申しますか、こころを伝えて行かなければ国は滅びます。そのこころの大切なものの一つは、祖先たちが、何を美しいと感じたか、美の伝承ではないかと思います。精神、こころという見えないものを伝承するのに、祖先たちは、絵画や書、舞などの舞台芸能など種々の分野に、こころを形にしてまいりました。

今日、日本刀の鍛造の祭典に参列させていただき、しかも、大槌を打たせていただくという生まれて初めての機会に恵まれました。武器である日本刀も、長い時を経て、刀工の方々の研鑽により武士の精神の象徴として、こころを形に表したものと思います。世界に誇れる美、日本人のこころの美を世界に示しました。大槌を打たせていただいた、その時少しですが、伝承された祖先たちのこころに触れることが出来たような気が致しました。しみじみ有難い機会をいただいたと思います。(二見興玉神社宮司 金子清郎様)

●29日は賓日館で、刀の鍛練を見せていただきました!

去年の熱田神宮の初めての刀剣鍛練の時も感動しましたが、今回もまた、丁寧なお仕事につい見入ってしまい、いつの間にか2時間経ってしまっていました。

打ち上がって直ぐの刀を、持たせて頂いて私たちの質問にも分かり安く説明していただきました。貴重な体験を有難うございました。(三重県伊勢市 小辻千里さん)

天と地 寄稿「私の巡礼マニュアル」

イベント報告 2023年05月05日

柏木白光展覧会「天と地 熊野をめぐる書巡礼」も5月7日(日)までの開催となります。広い展覧会会場をいかにして鑑賞するかの「マニュアル」をお寄せいただきましたのでご紹介します。

「柏木白光展「天と地」私の巡礼マニュアル 」

伊勢湾を渡り松林を抜けた風を背に感じながら 身を清められた思いで賓日館の前に立つと「光」の字が私を迎え入れてくれます。書家 柏木白光展「天と地」の会場です。

先ず制作風景の動画を見た後、その横の「伊勢の道」の間へと進みます。賓日館は元々は皇室の別荘のため、大小さまざまな部屋があり、そこに溶け込むように作品が展示されています。

「伊勢の道」から廊下を渡り「浪速の道」「まほろぼの道」「比叡山」「高野山」へと祈りの巡礼が続きます。

階段を上がり大広間(120畳)の「和 の心」へ。三体の仏像が置かれ、世界平和を願う祈りの世界が現れます。

最後に廊下を渡り、ようよう「能野」へ。そこには、雄大な 空・山・海・滝・淡があり「よみがえりの地」があります。

伊勢から初まり 各々の神や仏に導かれ 辿りついたその地には、母の思いが添えられ、神仏への祈は母の願いと気ずかされます。

入ロの所で作品集が販売されています。その本を見開きながら書巡礼(作品を見進める)をされることをお勧めします。その場の感動と発見を共に持ち帰ることが、出来るように思うからです。(三重県志摩市 昼田実郞さん)