「後鳥羽上皇の旅」制作スタート
柏木白光は後鳥羽上皇ゆかりの地を訪ね作品を制作する「後鳥羽上皇の旅」の活動を開始しました。第一弾となる切目王子神社(和歌山県印南町西ノ地)での作品制作が行われ、その様子が紀州新聞にて紹介されました。
柏木さん(女流書家)が作品制作
後鳥羽上皇ゆかりの切目王子神社で
(紀州新聞 平成28年(2016年)11月18日(金曜日) 文:編集部 武田裕人氏)
熊野古道をテーマにした作品制作など独自の世界観を表現した作風で知られる女流書家、柏木白光さん=東京都在住=が16日、印南町西ノ地、切目王子神社を訪れ、境内で地元住民らが見守る中で2つの作品を書き上げた。
柏木さんは、毎日女流展でグランプリを受賞するなど多くの書展に入賞している女流書家の第一人者。詩と絵を融合させた独自の世界観を表現した作風で知られ、伊勢神宮や明治神宮、靖国神社に作品を奉納しているほか、イラク自衛隊の看板「サマーワ宿営地」を書き話題となった。平成21年からは熊野古道をテーマに紀伊半島の聖地を訪れる「熊野へ書巡礼」をスタート、今年9月には7年間にわたる書巡礼を重ねてきた作品群「天と地」の集大成となる展覧会を東京・護国寺で開催。
今回、第2弾として「後鳥羽上皇の旅」をテーマに後鳥羽上皇に関わりのある聖地を訪れての作品制作を15日からスタートし、田辺市の発心門王子、稲葉根王子、八上王子、16日は闘鶏神社に立ち寄ったあと切目王子神社を訪れた。同神社は後鳥羽上皇が1200年(正治2年)に歌会を開き、後鳥羽上皇が詠んだ「あきのいろは たにのこずゑに ととめおきて こずゑむなしき おちのやまもと」など歌会でしたためられた11点の懐紙が今も残り「切目懐紙」として国宝に指定され、京都市の西本願寺に所蔵されているなど聖地の一つで、柏木さんは、坂下繁一総代長ら氏子など30人が見守る中、「切目王子」と題し詠んだ歌と、熊野古道にちなみ「道」という字の2つの作品を力強く書き上げた。
柏木さんは「『道』は境内に樹生するホルトノキをイメージして書いた。良い作品を書かせてもらった」と満足そうな表情だった。今後、奈良の薬師寺や春日大社、京都の東寺や伏見稲荷大社などでも作品作りを行い、3年かけて「後鳥羽上皇の旅」を完成させる予定で、完成すれば展覧会を開催することにしており、切目王子神社など地元の歴史を学ぶ「うらしま会」代表の寺下鎮雄さん(71)は「大変有名な方に来ていただきうれしく思う。作品を展覧会で展示してもらえれば多くの人に切目王子神社を知ってもらえるのではないか」と喜んでいる。
切目王子神社は本殿の檜皮ぶき屋根のふき替え工事近く始まることになっており、柏木さんは同神社の御神木である「ナギ」の木を使って看板を製作し、ふき替えが完了する来年7月までに寄贈することを約束した。
柏木さんが詠んだ「切目王子」の歌は次の通り。
「朝まだき 産着のやうな 靄(もや)かかる 切目王子は まだ深眠り」