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白光詩季折々 7月 「中津祇園」

白光詩季折々 2024年07月04日

7月に入ると、中津の街には、「チキチンチキチン、チキチンコンコン」とお囃子の音色が響きます。

7月末に開かれる「中津祇園祭」。大人も、子どもも、心躍らせて、祭の準備に余念がありません。

幼い頃、「江戸時代、京都へ祇園車をつくりに中津の船大工が京都に行き、郷里に帰ると中津のお殿様が『我が中津にも祇園車が欲しい』と言って中津祇園車が生まれた。神様は京都の八坂神社からやって来た」と教えてもらった記憶があります。

日舞を習い、祇園車で踊っていた母。祭の夜は、遅くまで一緒に祇園車に付いていきました。母との大切な思い出です。祇園車で踊る母はとても綺麗でした。

中津祇園、豊後町御神殿奉斎車、稚児舞(影向楽)。

中津祇園祭で謡われる「影向楽(ようごうがく)」。

開けし国は久方の御世

天津神世の まつりごと

宮居涼しき くらなしの浜

出船入船あれを見よ

須磨の浦の荒木の さくら

散らで残れる磯馴れ松

千早振る 千早振る

神と君との道すぐに

打治まれる御代なれや

民も豊かに澄む水の

流れの末の末ずえも

歌い戯れ千代に八千代に

祇園車に掲げられている「影向楽」の額縁。

子どもの頃の祭りのワクワク。大人になって故郷とつなぐ大切な思い出になりますように。

昭憲皇太后の御歌を書写する会で講師を拝命

イベント報告 2024年06月26日

明治神宮では2024年6月17日に「おみくじ書写会~聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心~」を開催しました。この催しは、昭憲皇太后の御歌5首から好きなものを選び、書写する会です。柏木白光はお手本となる御歌を揮毫し、奉納させていただくとともに、書写会の講師を拝命いたしました。

今回の揮毫にあたり柏木白光は、明治神宮国際神道文化研究所主任研究員である打越孝明氏の著書『御歌とみあとでたどる明治天皇の皇后 昭憲皇太后のご生涯』を精読し、昭憲皇太后について理解を深めました。

書写会の冒頭でも、昭憲皇太后の素晴らしさを紹介するとともに、その生き方から生まれた御歌を書写するにあたってのアドバイスを解説しました。その後、受講生の方々は、御歌を選び、練習したうえで、色紙に揮毫。柏木白光は受講者の席を回りながら、指導をさせていただきました。

書写が終了すると、明治神宮本殿へ移動し、参拝をさせていだきました。

受講者の方々の感想

「昭憲皇太后様のあふれる思いにふれる」 坂本喜杏さん

このたび、明治神宮おみくじ書写会「聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心」のご案内を頂戴いたし、参加の申し込みをいたしましたところ、当選のご連絡をいただきました。

青空のもと、明治神宮の代々木の杜の中を歩き、清々しい気持ちで明治神宮ミュージアムにお伺い申し上げました。神官の皆様のご用意も美しくととのい、まずはじめに柏木白光先生のお話を承りました。

明治の時代、明治天皇陛下とともに昭憲皇太后様は、日本の国民の教育、生活指針をまず第一にお考え遊ばされ、十二の徳目を和歌に詠まれ、柏木白光先生がお手本として、その内の五つの御歌をお示し下さいました。

御歌を拝読いたしますと、昭憲皇太后様が、あふれるほどの国民への思いをこめられてお詠み遊ばされたことが伝わり、わかりにくい遠回しではなく、現代の私どもが拝読いたしましても、心に素直に入ってまいります。

柏木白光先生のお話を承り、昭憲皇太后様の、安住せずに、人々の嘆きにも常に耳を傾けられ、ご努力を遊ばされたそのご精神を、私どももつなげてまいりたいと存じ、筆を持った次第でございます。

そして、各自の色紙を御本殿に奉納させていただき、柏木白光先生とともに参拝できましたことをお手配下さいました皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

「自分らしく書く、楽しく書く」 辛島高明さん

普段の生活では文化的なことには全く縁のない生活を送っている60代ですが、ある日携帯をいじりながら色々な情報を閲覧していたところ、「おみくじ書写会」の開催案内に目が留まり、「光る君へ」の和歌のシーンが頭に浮かび、何を思ったか申し込みをしてしまいました。

「まあ、当たらないだろう…」と思っていたところ当選の連絡があり、一瞬うろたえたのですが、小学生以来「筆で字を書くこと」などなかったので、良い機会と捉えて参加させて頂きました。

書道家の先生のお話を聞くことも初めてでしたが、柏木白光先生のおおらかで人を引き付ける語り口で、「書」「かな文字」の意味や掛け合わせでの表現方法などのお話が聞け、初めて和歌の読み解き方を理解しました。

書写は練習用半紙で筆慣らしをしたのち、自分が選んだ御歌の見本の上に色紙サイズの半紙を乗せ、なぞり書きでの練習をした上で、本番用の色紙に清書し最後に【明】の朱文の印を捺印しました。

書き始めは緊張しましたが、白光先生の「自分らしく書ければ良いですよ~!」の一言で楽になり、楽しんで書くことが出来ました。

清書が終わった後は参加者一同奉納の為に神官の方と境内を移動したのですが、その際、各所の説明を受けながらご本殿まで行けたのは参加者への特典ご褒美でした。無事に昭憲皇太后様への奉納の儀が終わり、自分の書いた色紙を受け取ったときは何やら清々しさを感じ、日本の文化は素晴らしいと再認識しました。

今回は特別な経験をさせて頂き、柏木白光先生ならびに国際神道文化研究所の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

「感動のおみくじ書写会」 澤田優子さん

「当選!!」の通知をいただいてからワクワクドキドキが止まらない心を抑えて、いざ明治神宮へ。鳥居でご挨拶。一歩入った所で都心にあるとは思えない静寂と深緑の杜の爽やかな空気。思わず深呼吸してしまいました。

しばらく歩き隈研吾氏設計のミュージアム到着。館内に入ると大きな吹き抜けと壁が窓一面の森がみえて、最高な内装です。

受付を済ませ、柏木白光先生の明治天皇と昭憲皇太后の作品を拝見。さすがに凄いですね!!

会場には、すでに書道道具が用意されたテーブルに椅子が整然と用意されていて、自由に席を選んで着席しました。しかし、きっちり必要な物が並べられていて気持ちよく受講できる環境って素敵ですね。ご用意していただいたスタッフの方の気持ちがとても嬉しいでした。

進行の神官さんから説明があり、スタート。

講師柏木白光先生の自己紹介に「黄門様の印籠のかわりに神社新聞の題字が私の印籠です」と、ユーモアあるお話し。そして「作品です!」と、言われた袋の中に入っていた先生のパンフレット。目が点に。言葉にならない感動でした。

昭憲皇太后の和歌を現代の人が読める字にした作品と聞いて、またもビックリ!! 昭憲皇太后が女子の教育に貢献された事には、今の私たちは感謝しなくてなりませんね。そして、和歌の内容は、人としての生き方を和歌にしている。と、すべてが実践できたら、素晴らしいだろうと思いました。どの和歌も背筋がピーンとする素晴らしい和歌だと思います。

書写開始。筆慣らしからです。なかなか思うようには、動かない筆。練習に夢中になっていたら、清書に入ってくださいとの事。色紙って‥。緊張するし、練習紙とは違うよ。より一層の緊張、無我夢中です。

最後に印をおして、ほっとする間もなく、神官さん先導のもと本殿参拝向かい、途中に説明が入り歩いて手水舎でお清め。お祓いをして一般参拝の一つ内側で参拝。この時に、先程仕上げたばかりの作品も一緒です。

感動の涙が出そうでした!最後に作品を返していただき解散です。約3時間、夢のような体験でした。今回のテーマは、聞いて学び書いて親しむ昭憲皇太后の御心!あまりにも短い時間にこれだけの内容を深掘りできなくとも身に入ってきた感じがしました。また、この企画あったら是非参加したいと思いました。

最後に柏木白光先生のお話しの楽しさ。講演だけでもあったら嬉しいです。また、スタッフの皆様もとてもスムーズに進行していただき、気持の良い環境を整えていただいて感謝です。充実した時間をありがとうございました!!

「おみくじ書写会に参加して」 茨木久美子さん

明治天皇のお妃さま。ぼんやりとそんなイメージしかなかった方が、混乱の時代に赤十字を作られ、女子教育や女性の立場向上のために奔走され続けていたと知り、あぁ、歴史は 脈々と連なり、熱い思いで動いて下さった方々のおかげで今があるのだと改めて感じました。

皇太后のお話の他、文字の成り立ちやその持つ力、“いかに上手く書くか”ではなく“いかに心を込めるか”が大事だというメッセージなどなど、短い時間にたくさんの教えを受け、 その情報と感動とが自分の中に流れ込んで、それらを落とし込む形で色紙に向かう。本当に 贅沢な時間でした。

隈研吾さん設計のミュージアムのホールは、室内なのにまるで森の中に 佇んでいるような、なんとも気持ちの良い空間で、そんな場所で、この得難い体験をさせて 頂けたことに、心から感謝しています。

自分の拙い字を眺めるのは、失敗ばかりに目がいきちょっと辛いですが、でも、教えて頂いたことや強く共感したお言葉を思い出し、日々を丁寧に過ごすためのツールとして、目につく所に掲げておこうと思っています。本当にありがとうございました。

書写会を企画された主任研究員の今泉様にお言葉を寄せていただきました。

和歌を書くという行為を通じて、おおみごころと自らの心が通い合うような そのような書写会をいつか実現できればと願ってきました。

この度、ご縁をいただき柏木白光先生の作品を手本として、開催が叶ったことに心より感謝申し上げます。

下手くそでもよいから、昭憲皇太后さまのお気持ちを思いながら書いてごらんなさいという言葉に、受講生も励まされたのではないでしょうか。

書き終えた後、皆さんがとても充実した表情だったのが印象的でした。

短い時間でも、小さい人数でも、このような機会をくり返し作ることができればと夢見ています。

白光先生、どうぞこれからもご指導をよろしくお願いいたします。

明治神宮国際神道文化研究所主任研究員 今泉宜子

明治天皇と昭憲皇太后の和歌を揮毫し、明治神宮に奉納

奉納 2024年06月19日

柏木白光は、明治天皇と昭憲皇太后の御歌、合わせて10首を揮毫し、2024年6月15日に明治神宮へ奉納させていただきました。奉納された和歌は、それぞれ現代人が読めるひらがなで揮毫されています。

明治天皇御製

大空にそびえて見ゆるたかねにも 登ればのぼる道はありけり

あさみどり澄みわたりたる大空の ひろきをおのが心ともがな

さしのぼる朝日のごとくさはやかに もたまほしきは心なりけり

あらし吹く世にも動くなひとごころ いはほに根ざす松のごとくに

器にはしたがひながらいはがねもとほすは水のちからなりけり

昭憲皇太后御歌

みがかずば玉の光はいでざらむ人のこころもかくこそあるらし 

朝ごとにむかふ鏡のくもりなくあらまほしきは心なりけり

人はただすなほならなむ呉竹の世にたちこえむふしはなくとも

茂りたるうばらからたち払ひてもふむべき道はゆくべかりけり

人しれず思ふこころのよしあしも照し分くらむ天地のかみ 

白光詩季折々 6月 「恵雨」

白光詩季折々 2024年06月03日

梅雨の季節が訪れました。

樹も草も しづかにて 梅雨はじまりぬ (日野草城の句)

田んぼや野原は、元気な蛙たちの声でにぎやかです。

蛙のような岩塊を動かすと

硯が現れます。

硯と墨は水と出逢い、書が生まれます。

美空ひばり『川の流れのように』(作詞:秋元康、作曲:見岳章)

いつか旅立つ子どもたちが、無事、かえりますように。

明治神宮で昭憲皇太后様の和歌書写会

イベント情報 2024年05月17日

明治神宮では、2024年6月17日(月)に「おみくじ書写会~聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心~」を開催します。この書写会において、柏木白光は講師を務めさせていただきます。

明治神宮のご祭神である昭憲皇太后様は和歌の才に秀でられ、生涯で約3万首もの御歌を残されています。

この書写会は、明治神宮の大御心(おみくじ)に含まれる和歌(5首)から1首を選び、柏木白光の手ほどきを受けながら和歌を書き、神前へ参拝するという内容です。

新緑がまぶしい明治神宮で、昭憲皇太后様の御心に触れる書写会に参加してはいかがでしょうか。

「おみくじ書写会~聞いて学び、書いて親しむ昭憲皇太后の御心~」

開催日時:2024年6月17日(月) 9:30~12:00頃

開催場所:明治神宮ミュージアム( https://www.meijijingu.or.jp/guide/

対象:中学生以上(書道の経験不問)

定員:30名(抽選)

受付開始:5月10日 当落通知開始:6月5日ごろ

詳細と参加申し込み方法は下記のページでご覧になれます。

https://www.meijijingu.or.jp/news/?id=1713258557-039843

白光詩季折々 5月「飛翔」

白光詩季折々 2024年04月30日

男子の孫が生まれ、亡き父、宇都宮廣が49年前に贈って下さった節句飾りが毎年参上。

色紙は、富士山の絵はがきに、谷川俊太郎の詩を書きました。

あなたは飛ぶ

雲海の上を翼なく

空を畏れながらも

晴れ晴れと

(谷川俊太郎)

健やかに育てと、小判は50両が3つと3両で153両を献上。

刀は「抜けば玉散る氷の刃」ではなく、「抜けば学べる普通の鉛筆」です。

鯉のぼり背景は松久佳遊先生作の「観音様屏風絵」。子どもたちの成長を見守りください。

【白光詩季折々】4月「光」

白光詩季折々 2024年04月01日

桜前線がゆっくりと日本列島を動き始めました。

🎶[音楽祭り]で子どもたちは新学期を迎えます。

伊勢七宝まり作家、松崎薫作

「書者散也」(空海の言葉、白光書)小屏風

「光」(白光書)

光を求め歩き続ける 

君の情熱がいつの日か 

誰かにとっての

光となるでしょう 

誰かにとっての

兆しとなるでしょう

(B’z『光芒』[作詞:稲葉浩志]より)

橿原神宮へ書巡礼作品「光」を奉納

奉納 2024年04月01日

2024年3月20日、柏木白光は作品「光」を橿原神宮(奈良県橿原市)に奉納させていただきました。早朝からの荒天もおさまり、関係者の列席の下、社殿にて奉納奉告祭の儀式が滞りなく執り行われました。

柏木白光は、熊野古道にまつわる聖地を書巡礼し、神社仏閣で作品制作を行なってきました。橿原神宮で制作された「光」は、高さ165cm・幅185cmの巨木の樫に、象形文字の「光」と北原白秋の『海道東征』を書した作品です。

橿原(かしはら)は、日本最古の正史とされる『日本書紀』で日本建国の地と記されています。初代天皇の神武天皇は、豊かで平和な国づくりを目指し、九州の高千穂の宮から東に向かい、想像を絶する苦難を乗り越えて、橿原宮を創建されました。橿原神宮は、神武天皇が造営し即位した場所とする日本書紀の記述を基に明治23(1890)年に創建されました。

『海道東征』は、神武天皇の日本建国神話をもとにした北原白秋作詩、信時潔作曲の交声曲です。その詩には、大和への憧れ、船出や各地での日々と苦難、そして偉業が叶ったことを寿(ことほ)ぐ内容が描かれています。

【橿原神宮「光」制作風景】

【白光詩季折々】3月「春は来ぬ」

白光詩季折々 2024年03月01日

友人からの絵葉書を、色紙に張り込み、島崎藤村の詩を書く。

春はき(来)ぬ

春はきぬ

浅みどりなる新草(にいぐさ)よ

とほき野面(のもせ)を

面(えが)けかし

さきては紅き春花(はるばな)よ

博多人形作家が1段づつ3年がかりで作った雛人形を飾る。

百人一首かるた。平安の男雛と女雛の世界。

春の訪れを告げる花々を添える。

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「小倉百人一首」本阿弥光悦作 《白光の宝物》。

【白光詩季折々】2月「流輝」

白光詩季折々 2024年02月02日

鬼は外 福は内

パラッ パラッ パラッ パラッ 豆の音

鬼は こっそり

逃げて行く

高千穂神社の神楽神々様

国東半島六郷満山修正鬼様

風神雷神様

御光臨で鬼退治!

ベトナムで出会った小さな舟2艘と鼈甲の小魚たち。

水がすべてを浄めて、福が輝く「流輝」の風景が見えました。